(車内の会話)
「たけしさん、どうして美濃を選んだんですか?」
「美濃を選んだ理由ですか? いや、つまらない理由なんですけど、単純に近いからっていうだけの理由ですよ」
「え? そんだけ?(笑)」
「はい、そんだけ(笑)。こんな近くにいいところがあるので、本当にラッキーです」
「そうなんだ・・・」
「時間も、あとお金も交通費もあんまりかからないですし。コスパ最高だと思いますよ」
「はぁ~(苦笑)」
(車内の会話)
「たけしさん、どうして美濃を選んだんですか?」
「美濃を選んだ理由ですか? いや、つまらない理由なんですけど、単純に近いからっていうだけの理由ですよ」
「え? そんだけ?(笑)」
「はい、そんだけ(笑)。こんな近くにいいところがあるので、本当にラッキーです」
「そうなんだ・・・」
「時間も、あとお金も交通費もあんまりかからないですし。コスパ最高だと思いますよ」
「はぁ~(苦笑)」
(5秒沈黙)
「近くにいいところがあるって思えるなんて、エラいんだね」
「えーっと、エラいんですかねぇ・・・」
「いやいや、若いのにそんな風に思えるなんて、すごくエラいと思うよ」
「そんなことないとは思うんですけど・・・、えっとじゃあ、住んでるところの近くをいいところだとは思われないってことですか?」
「僕? 僕はないなぁ。だってさ、うちの近く、何もないもん」
「そうなんですか」
「うん。何もない。ただの住宅街」
「うんうん」
(3秒沈黙)
「本当に何にもないよ、うちの近くは」
「住宅街だったら、確かに何にもないかもしれないですね」
(3秒沈黙)
「たけし君はどこ出身だっけ?」
「静岡です」
「静岡のどの辺?」
「静岡市です。静岡駅の近くで、自転車で10分かからないくらいです」
「ってことは、都会だよね」
「はい。静岡の住宅街です」
「静岡の住宅街は、何かあるの?」
「いや、何もないです(笑)」
「でしょ?(笑)」
「はい、静岡の住宅街も、何もないです(笑)」
「はは(笑)」
「あはは(笑)。今の説明で分かったかもしれません。僕の実家の、あの感覚ですかあ。はいはい」
「そうそう。それと一緒だよ。静岡も名古屋もそういうところは一緒でしょ。僕ももうちょっと名古屋に近ければ、色々あったかもしれないんだけどね」
「そうですねぇ。都会に近ければ、違ったかもしれないですよね」
「うんうん」
(5秒沈黙)
「今は名古屋からは遠いんですか?」
「うん。ちょっと遠い」
「じゃあ、ちょっと行きづらいんですね」
「まあ、行くは行くよ」
「ふんふん」
「友達と飲んだりとか」
「ああ、銀時計で集合するパターンですか」
「いや、店に直接」
「ああそっか、そりゃそうですよね。すいません」
「いやいや、いいよ。それでさ、土曜日だったら終電近くまで飲んで、日曜だったら9時くらいには切り上げる感じかな」
「次の日のこと考えると、日曜はそうなっちゃいますよね」
「うん。まあ、物足りない気もするけど、もうそういう生活には慣れたよ」
「やっぱりもう少し名古屋に近い方がいいんですね」
「そりゃあね。さっきも言ったけど、うちの近くは何にもないから」
「僕の静岡と同じで」
「そうそう」
「うんうん。あの、名古屋に住まれてから長いんですか?」
「長いどころじゃないよ。生まれも育ちも愛知。名古屋ではないけど」
「はあ~~。それじゃあ、長いどころじゃないですね」
「ま、1回愛知を離れてたことがあるんだけど」
「あ、そうなんですか?」
「大学の時と、あと仕事の都合で2年くらいは」
「そうだったんですね」
「うん。今は生まれ育った愛知に戻ってきたわけだけど」
「愛知には戻ってきたかったんですか?」
「そういうわけじゃないんだけど、まあ成りゆきっていうか。なるようにしてなったっていうか」
「トータルで見たら、愛知歴は相当長いですよね」
「だから、長いどころじゃないんだって」
「僕はまだこっちに来たばかりだから、色々新鮮で面白いんですけど、ずっと住んでたら・・・」
「庭みたいなもんだ」
「ふんふん」
「地元ってそういうもんだよ」
「そうなんですか」
(4秒沈黙)
「繰り返しになっちゃいますけど、それだと、何もないって思うのも無理ないかもしれないですね」
「まあね~。本当は色々あるんだと思うけどねぇ」
「そうなんですか?」
「うん。本当はあるんじゃないの? 柴山君みたいに外の人が見たら面白いって思うってことは、絶対に何かがあるんだよ」
「うんうん」
「地元の人は何にも思ってないだけで・・・」
「例えば愛知は何があるんですかね」
「だから、俺には分からない」
「そっか(笑)」
(コーヒーをすする)
「たけし君も、静岡の実家の近くに何かあるんじゃない?」
「まあ面白いかどうかは分からないんですけど、帰省するといつも行く、静岡おでんの店はあります」
「おお、いいねえ」
「あとは、安倍川の近くなんで、安倍川もちの店もあるんですよ。そこも行きます」
「ふふっ。食べ物ばっかじゃん」
「はい。でも、高校までは地元だったんですけど、そのときはそんなの興味なかったですよ。」
「そうなの?」
「はい。でも、大学の長期休みで帰省した時から、行くようになりました」
「大学はどこだっけ?」
「千葉です」
「だからやっぱりそうなんだよ」
「”そう”っていうのは、つまり…」
「つまり、ずっと暮らしてると気づかないものがあるっていう」
「そうかもしれないですね。じゃあちょっと、今からUターンして、お宅の近くの探検ツアーにプラン変更します? 僕が地元の人じゃない、外の人の目で見て、面白いもの見つけるんで」
「あはは、でも、いいよ。もうここまで来ちゃったし」
「そうですね。まあもう目的地近いですし、お腹すきましたし」
(目的地到着)
「着きました」
「運転ありがとう」
「いえいえ。やっぱり山の中は景色がいいですね。岐阜らしいって感じがしますよね。でもとりあえずお腹すいたんで、早く食べに行きましょう」
「うん。そうしましょう。ところで話は戻るんだけど、どうして岐阜なんだっけ? たけし君がツアーの行き先に選んだのは」
「ああ、岐阜っていうか美濃を選んだ理由はですね、つまらない理由なんですけど、住んでるところに近いからですよ」
「ああ、そっか。そういえばそんな話だった」
「はい。まあ忘れますよね。つまらない理由なので」