「エンジニア」は意味が広すぎるけど、ちょうどいい距離感の言葉
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「仕事はエンジニアです」という自己紹介、今までに一度は聞いたことがあるでしょう。
「ああ、エンジニアなんだ~」と納得して、話が続きますよね。
でも実は「エンジニア」という言葉はあまりに意味が広いので、とってもざっくりとした説明です。何も説明してないに等しい、と言われたとしても、僕は同意します。
しかしそういった曖昧さ、そして突っ込んで説明しすぎない距離感は大事ですよね、という話をしたいと思います。
辞書の定義
まずは、辞書の説明を見てみましょう。
エンジニア【engineer】
機械・電気・土木・建築などの技術者。技師。- デジタル大辞泉 小学館
本来はこの意味で正しかったと思いますが、実際はかなり違う使われ方をしているように思います。
もしこの説明の通りなら、ほとんど エンジニア=理系 ってなります。
元エンジニアを名乗っている僕ですら「建築エンジニア」と聞たら、正直に言って、どんな仕事か一瞬で具体的にイメージすることは難しいです。
実際の使われ方
私見ですが、エンジニアと言ったら 一般的に IT業界 を指している と思います。もっというと、プログラミング関係を連想します。
この記事を書くにあたって「エンジニアとは」「エンジニア 種類」などと検索してみたのですが、IT 業界は前提となっていて(書いてすらない)、その中で、バックエンドエンジニアやデータベースエンジニアなどの説明がされるものが多かったです。
僕の場合の「エンジニア」とは
僕がやっていた仕事は、機械関係 です。例えば設計図を書いたり、金属の強度を考えたり、電気の回路図を書いたり、そういった仕事ですね。
なので、プログラミングは直接関わりはないです。ですが、エンジニアって名乗ります。
本当は機械関係のエンジニアの中にも、機械系、制御系、生産系など色々ありますが、細かい説明は省略します。
僕の例と実際の使われ方を比較して考えると、一般的には
エンジニア = ソフトウェア(形のないもの)を作るというイメージがありそうです。スマホのアプリ開発とか、そういったことですね。
しかし実際には、形がある物を作るエンジニアもたくさんいます。僕がそうだったように。
機械のメーカーにも、プログラムを書くのが専門の人はたくさんいます。先ほど述べた建築エンジニアでも、パソコンで設計図を作るのを専門にしている人はたくさんいるでしょう。しかし、会社として生産しているのは、形のある物です。
彼らもエンジニアであることは間違いないのですが、いわゆるエンジニア像には、あまり含まれないような気がします。
生産するものがハードかソフトか、実際は関係ないものの、エンジニアのイメージにおいてはそこが分かれ目になるように思います。
「メーカー」も曖昧な言葉
「エンジニア」と同じように「メーカー」も、実は曖昧な言葉です。
僕の実体験なのですが、どんな会社に勤めてるか聞かれて「メーカー」って答えたら、あとになって「服とかのメーカーだと思った」って言われたことがありました。
でも言われてみれば、確かにそうですよね。メーカーって聞いたら、まずは身の回りのもの、例えば服とか、お菓子とか、シャンプーとか、そういったものを思い浮かべるだろうと思います。
メーカーって聞いて、真っ先に溶接とか旋盤を思い浮かべる人は、相当稀ですよね。
説明しすぎない距離感がちょうどいい
「エンジニア」という言葉は、これくらい説明不足でいいと思っています。
特に初対面どうしで話をするような場面では、共通点を見つけるための質問ってことが多いですから。
もしお互いにエンジニアだったときに「あ、僕もなんですよ。何系のエンジニアですか?」って話を広げることができます。
どういうエンジニアの種類があるか詳しくない人に「自分は IT系のエンジニアで、特にバックエンドを担当してて、最近は Ruby でコード書いてます」と説明するのは、やりすぎになってしまいます。
「エンジニア」って言葉は、詳しくない人には納得できて、詳しい人には話のとっかかりになる、ちょうどいい距離感の言葉なのです。
僕はこの 納得できる という点が重要だと思っています。相手のことを知ることは安心につながる からです。全く中身の見えない人って怖いですからね。
「仕事は?」「エンジニアです」「へー。じゃあ、プログラミングですね」って会話は、詳しい人にとっては「出身は?」「香川です」「へー。じゃあ、うどんですね」くらい意味がない会話に聞こえるかもしれませんが、これはこれで必要な作業なのです。
おわりに
最近、ブログ記事や Kindle電子書籍で「エンジニアが語る」みたいなタイトルをよく使っています。
心理へのキャリアチェンジをしてる最中で「元エンジニア」って部分のアイデンティティが強まったからだと思います。
しかし、その言葉を使うときには「でも、一般的に思い浮かべるエンジニアじゃないんだよなぁ」という複雑な気持ちもありました。
この記事を書きながら、エンジニアについて調べたり言葉の使い方を考えることで、そういった気持ちの棚卸しが出来たように思います。