ゲーム『Pilgrims』感想
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Samorost シリーズでおなじみの Amanita Design が制作したゲーム『Pilgrims』をプレイしたので、感想を書きます。
Pilgrims ってどんなゲーム?
大きく分けるとパズルゲームになりますが、パズルの解き方に特徴があります。
上のトレイラーを見ると分かるように、状況に合わせてカードを選ぶ、という進み方です。
↑この場合は簡単で、右のおじさんが欲しいという、ゆでたジャガイモをちょうど持っています。これを渡せば、ストーリーが進んでいきます。
しかしもちろん、こんな簡単なものばかりではありません。欲しいというものがないので、どこかで拾ってきたり、釣りをして捕まえたり、料理して作ったりと、カードの使い方を考えるのがこのゲームの醍醐味です。
しかも、ゲームが進むほどカードが増えていくので、組み合わせは指数関数的に増えていきます。
Creeks に似た、絵本のようなデザイン
これは僕の見解ですが、Amanita Design のゲームは、3種類に分けられると思っています。
① 緻密なデザイン(立体的、3次元的)
→ Samorost ・ Machinarium
② マンガっぽいふんわりデザイン(平面的、2次元的)
→ CHUCHEL ・ Botanicula
③ 絵本風のデザイン(2.5次元的)
→ Creaks
この分類に当てはめるのであれば、 Pilgrims は Creaks と同じ ③絵本風のデザイン だと思います。もっと言うと、Creaks の中に出てきた「動く絵画」を1つのゲームにしたような世界観です(ゲーム性は全然違うけど。あくまで見た目の話)
感想 : 期待を裏切らない世界観。しかし、パズルは作業になりがち。
前述のような Amanita Design の世界観はこのゲームでも健在。現実の世界のようでもあり、異世界の話のようでもある独特な雰囲気が、手書き(多分)で1つ1つ描かれているのは、相変わらず素晴らしいです。ゲームが終わった後には「いいもの見たなぁ」という気分になります。
しかしパズルに関しては、正直 Amanita Design の他のゲームには劣るように感じました。
一番プレイしていてつらかったのは、パズルのヒントが少ないこと。自分が見逃しているだけかもしれませんが、答えに脈絡がないものがいくつかあったように思いました。ではそういうときにはどうするかというと、 「全パターン試す」という方法になります。 行ける場所は順番に行って、すべてのカードを試す。これだと単純作業になりがちで、やや退屈な時間がありました。
まとめ
Amanita Design の他のゲーム Samorost や Machinarium が面白かった人であれば、このゲームもおすすめです。ボリュームは少ないですが、値段は500円とお手頃です。
もし Amanita Design のゲームをやったことがない人であれば、僕は他のゲームから始めることをおすすめします。そして、その世界観が気に入ったのであれば、2つ目や3つ目以降のゲームとして、Pilgrims をプレイすると面白いと思います。
トリビア① Pilgrim = 巡礼者
Pilgrim という単語は知らなかったのですが、調べると英語で「巡礼者」という意味だそうです。たしかに、地図中の様々なところをぐるぐるとめぐります。
「巡礼」という言葉を聞いて思い出すのは、村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』です。この英題は『Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage』。やっぱり Pilgrim が含まれていますね。
ちなみに、ASA-CHANG&巡礼 も思い出したので調べたら、Pilgrim という言葉は出てきませんでした。公式ページのURL は http://junray.com になってます。
トリビア② キャラクターが話すチェコ語
4ヶ月だけチェコに住んでいたので、ほんの少しチェコ語が分かります。
オープニングのやりとりで聞き取れたものと、調べてわかったものの一部を書いておきます。ネイティブに確認とかしてないので、間違ってたらすいません。
- ドブリー = Dobrý. → Good. (ちなみに こんにちは は「Dobrý den」。den = day)
- タディー = Tady. → Here. (カードを投げて渡しながら「ほれっ」って感じ)
- ディキー = Díky. → Thanks. (ありがとうの表現の中でもカジュアルな言い方)
- ヤ・ネマーム = Já nemám. → I don’t have it. (持ってない。もう賭けるお金がない)
- ピキー = Piky. → スペード。
- アノ = Ano. → Yes.
- コネーツ = Konec. → End.(最後のカードを出した)
ちなみに、登場人物はビールを飲んでいますが、チェコ人はビールが大好き。人口1人当たりのビール消費量は、約30年連続で世界1位です。
最後に余談… スクショの著作権について
本題からずれる話を最後に。
ゲームの感想をブログに書くとき、頭をよぎるのは著作権のことです(YouTubeのプレイ動画をアップする人も同じはず)。スクリーンショットを許可なくアップしていいのか、よく確認しないといけません。最悪の場合、裁判沙汰になってしまいます。
最近はスクショやプレイ動画の方針を定めている会社が増えており、Amanita Design の場合はこちらに記載されています。基本的には、ゆるい方針です。
英語なので簡単に和訳すると…
OK
- ゲーム全体を通してのプレイ動画・攻略動画
- YouTube パートナープログラムなどを通しての収益化
NG
- ゲームデザインの一部(映像、音楽など)を取り出して流用すること
- 商用利用(プレイ動画を閲覧するのに料金が必要、など)
そして、「動画をアップしていいか、1つ1つメールで聞いたりしないでくれ」と書いてあります。返事をするのが面倒なのでしょうね。
僕のブログの場合は、広告(Google Adsenseなど)を載せているので、広い意味での「商用利用」にはなります。このケースはガイドラインに記載がないものの、YouTubeパートナープログラムに近いものなので、OKだと思います。つまり、NGに書かれているように「この記事を読むのには料金が必要」という仕組みにはしていない、ということです。
Amanita Design の方針は、おおまかに言うと「ファン同士がゲームの話題で楽しく盛り上がるためならご自由にどうぞ」という意図だと思います。ファンとしては嬉しい限り。
VALORANT や League of Legends などで有名な Riot Games も、同じような方針ですね。