(ネタバレあり)映画『ペルシャン・レッスン』の感想と考察

映画

ペルシャン・レッスン のネタバレを含みます

Twitter の映画紹介文が、読む人の心をわしづかみにする、静岡市のサールナートホール。

特にすごかったのが、これ。

地元なので、年末の帰省のタイミングで毎日通いましたよ。

ブタは終了してて観れなかったけど、3日で↓この4本観ました。

  • ナイトライド 時間は嗤う(紹介文
  • ペルシャン・レッスン 戦場の教室(紹介文
  • サイレント・ナイト(紹介文
  • 夜明けの詩(紹介文

この中でも一番面白かった『ペルシャン・レッスン』について、感想と僕なりに考察を書いていこうと思います。

「ウソのペルシャ語の暗記」は、超絶感動ラストへの”フリ”

公式サイトなどでも「でたらめなペルシャ語を暗記する」という点がストーリーのメインとして書かれています。確かに、あらすじとして間違ってはいません。

しかし実は、このあらすじが、超絶に感動するエンディングへのフリになっています。

主人公が本当に暗記していたものとは?

主人公(ジル)はウソのペルシャ語を暗記しないといけませんが、ジルは収容者であるためペンを渡してもらえません。

膨大な数の単語を暗記するには、何かしらの工夫が必要です。

毎日の仕事は、他の収容者への食事の支給と、収容者の名簿作成。

そこで、収容されている人の名前をもじって、さらにその人も風貌と関連させて、単語とその意味を暗記することにしました。

つまり、ジルが暗記していたのはウソのペルシャ語ではなく、収容されている人の名前だったのです。

別れた主人公と将校。その対比がお見事

物語の最後のところで、主人公と将校は収容所を脱出し、それぞれ別の道を進みます。

この別れた後の2人の対比が、すばらしくよくできている。

将校はでたらめなペルシャ語ゆえに空港でつかまるというオチ。レストラン開業のために頑張って勉強しましたが、でたらめはでたらめにすぎなかったわけです。

一方脱出した主人公は、ナチス収容所の生存者として調査官に話を聞かれることになります。ジルの作った収容者名簿は、すでにナチス幹部によって燃やされていました。

「収容所にいた人で、覚えている名前はあるか?」と聞かれるジル。「ええ。2840人ほど」

そして、収容されていた人の名前を一人一人暗唱しながら、映画は終わります。

このエンディングで、単語を暗記しているようで何も暗記していなかった将校 と でたらめな暗記のようで仲間の名前を暗記していたジル という対比の構造が、見事に浮き彫りになるのです。

あまりに気に入ったから、パンフレット買っちゃったよ。

名もなきユダヤ人に、名前を与えた

途中のシーンに、収容されている人の行列に自ら入るジルを、将校が見つけて救う場面があります。

「名もない犠牲者の一人になりたいのか!?」という言葉をぶつける将校。

しかし「名もない」と思っているのは将校だけ。主人公にとってはみな、名のある仲間だったのです。

名もない犠牲者(となるはず)だったユダヤ人に、ジルが名前を与えた、とも言えます。

しかしそれでも、その収容所の犠牲者は約2万人。主人公が覚えていたのは2840人であり、これだけの人数の名前を暗記してもほんの一部、という対比も、絶望感を増します。

いい話なのは分かるけど、シンプルすぎないか?

ここから先は、完全に個人的な好みについて書きます。

ここまで読んで、約2時間の映画でそれだけって、シンプルすぎないか? と思うかもしれません。

僕としては、映画はこれくらいシンプルな方がいいです。

僕は登場人物や人間関係を覚えるのが大の苦手です(ジルの真逆)。脳のキャパが全然追いつきません。たった2時間で10人とか20人も覚えるのは絶対に無理です。3回くらい見てやっと分かってくるくらい。

なので、小説が原作の映画は苦手なものは多いです。小説は映画以上の時間をかけて読むから、少しずつ覚えられるけど、それを映画の視聴時間でやるのは厳しいです。最初は楽しめません。

反対に、映画のために書かれたストーリーや、短編小説が原作の映画は好きなのが多いです。僕の好きな『コラテラル』は、主な登場人物が2人だけです。『ペルシャン・レッスン』も、主にジルと将校の主に2人。これくらいでいいんです。

おわりに

この記事の投稿時点(2023年1月8日)では、ペルシャン・レッスンは上演が終了しています。

ぜひ配信などで見れるようになってほしいですね。

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