【英語】リスニングができるためには何が必要なのか
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英語のリスニングに対する苦手意識が、全然克服できません。
海外に1年半くらい住み、日本でも YouTube で英語のコンテンツを見ますが、リスニングは本当にできるようになりません。リーディングやスピーキングも、得意ではないんですけどね。
今回はどういった力が足りないからリスニングが苦手なのかについて、自分なりに言語化していこうと思います。
リスニングに必要な能力はこの2つ
リスニングができるようになるためには、次の2つの能力が必要だと思っています。
① 音の山から単語を切り出す② 話されるスピードより速く理解する
これらはリスニングに限定した話です。「単語の意味が分からない」「文法が分からない」といった問題はリーディングでもリスニングでも共通の話なので、ここでは省いています。
①②について、順番に説明します。
① 音の山から単語を切り出す
言葉で説明するより、実際にやってみましょう。
過去の記事 で紹介したオーストラリアの公共放送ABCの Behind the News から。
動画の13~17秒。男の人が何と言っているか聞き取ってください。テーマは、SNSの広告について。分からなければ、何十回でも繰り返し聞いてみてください。
アシー アラッスポースタッフ バザジャスッ プラバリー コーツターゲ トゥワーズ ミー
って聞こえますね。真ん中あたりがちょっと早いです。書き起こすとこうなります。
I see a lot of sports stuff. But that’s just probably because it’s targeted towards me.
先ほどの音を、このような文章に変換することができますか?「だいたいできた」はダメですよ。全ての単語を、正確に拾うことができないといけません。ちなみに、僕はできません。
この例だと、just probably because あたりが特に早くて聞き取りづらいです。
あとは because it’s はかなり省略されてるので、少し難しいかもしれません。targeted の ed も、次の toward とつながって、ほとんど発音していません。
この例のように、音のかたまりから単語を1つ1つ探す作業が、僕にはまるで山から1つ1つ石を運び出していくように感じることから、「音の山から単語を切り出す」と表現しています。
② 話されるスピードより速く理解する
先ほどの文章の意味を、順番に理解していきましょう。
I see a lot of sports stuff. But that’s just probably because it’s targeted towards me.
I see a lot of sports stuff. は「僕はスポーツの広告をよく見ます」。stuffは直訳すると「もの」ですが、今回は広告の話なので、広告のことを指しています。
次に But that’s just probably because の解釈について。
基本的には It is because …=それは・・・だからです の形です。前の文の理由を説明するときに使います。これに just と probably という2つの副詞が入っています。
よって But that’s just probably because … は「でも、多分それは単に・・・だからです」となります。
it’s targeted towards me. は「それは僕をターゲットにしているから」
絶対の自信はないけど、it’s は 受動態(it is)ではなく 現在完了(it has)の省略形だと思います。つまり、今も僕をターゲットにしているというニュアンスですね。
ということで、先ほどの文章は
僕はスポーツの広告をよく見ます。でも多分、ただ僕をターゲットにしているからでしょうね。
という意味になります。
ここまでの解説を全部まとめると、、、
- アシー アラッスポースタッフ バザジャスッ プラバリー コーツターゲッ トゥワーズ ミー
↓ - I see a lot of sports stuff. But that’s just probably because it’s targeted towards me.
↓ - 僕はスポーツの広告をよく見ます。でも多分、ただ僕をターゲットにしているからでしょうね。
という段階があるわけです。
この処理を4秒で行わなければなりません。なぜなら彼は、4秒でここまで言い終えているからです。
それ以上の時間がかかってしまうと、そのあともどんどん遅れてしまうのです。
自分が苦手なのは ① の方
リスニングに必要な能力の①と②を説明しました。
ここからは僕個人の話になります。
僕は①と②のどちらも苦手なのですが、特に苦手意識が強いのは ①音の山から単語を切り出す の方です。
話す人が少し早口で、活舌がちょっと悪いだけで、もう全然ダメです。海外生活で「ごめん、リスニングが苦手だから、もう少しゆっくり話して」って、何回お願いしたことか。
特に苦手なのは、時制の聞き取り です。過去形の ed を発音したか、完了形の ‘ve を発音したかは本当にできるようになりません。この違いによって、結構内容に差が出てくるんですよね。
あとは can と can’t のように、肯定文か否定文かの聞き取りもかなり苦手ですね。文章の意味が真逆になるのに・・・。
さすがに文章の中から重要な単語(特に名詞)を聞き取ることはできますよ。「今こういうテーマの話をしてるんだな」って大雑把に理解することくらいはできます。話す人も大事な単語はハッキリ発音するから、聞き取りやすいです。
でも、細かいニュアンスとかを理解するためには、それではいけません。話し手が端折りたくなるような、流れ作業的にゴニョゴニョっと言うだけで済ませたくなるような部分も聞き取れないと、おおまかな理解にとどまってしまいます。
それは、僕やあなたが日本語を話すときにも同じことでしょう。
どうすればリスニングができるようになる?
ここまで読んだ勉強熱心なあなたは「で、どうすればリスニングできるようになるの?」と思ったでしょう。
それは僕には答えられません。だってこの記事は、リスニングが苦手な僕が「リスニングが苦手です」って表明するための文章ですので(笑) もし分かったら、僕にも教えてください。
でも苦手とはいえ、昔より少しはできるようになっていまして、①に対して有効だったのは 同じ部分を何百回も聞く という方法でした。「何百回」は盛っていません。本当に何百回も、です。
さっきの動画なら「バザジャスッ プラバリー」の部分が特に早いです。なので、男の人の台詞を繰り返し聞いて、「バザジャスッ プラバリー」に全神経を集中します。
バザジャスッ バザジャスッ バザジャスッ ・・・
いろいろ区切って考えてみよう。
バ ザ ジャ スッ
バ は But っぽいな。よく聞くと t の発音の名残みたいな音もあるから、多分合ってる。
ザ は the じゃないし、文法的には That’s っぽい。これなら意味も通じる。
ジャ スッ は、区切るとよく分からない。じゃあくっつけると、ジャスッ
よく聞くと、最後は「ス」じゃなくて、そのあとに何か音が入ってるな・・・
t の音が聞こえてないのなら、 just になる!
プラバリー プラバリー プラバリー ・・・
これもよく聞くと、プラバ〇リー の〇の部分に何か音がある。
口を閉じた b っぽい音だな。ってことはプラバブリー = probably だ!
実際にはこんなにスムーズに聞き取れることはなく、この300倍くらいの試行錯誤を経て、答えにたどり着けることがあります。この天啓を受ける瞬間は、達成感MAXですよ。
あとは、日本語完璧の中国人の友達に、リスニングが苦手ってことを詳しく話したことがあります。彼の返事は「それはねー、練習量が足りてないからだよー」。一刀両断されました。「うーん、やってるつもりなんだけど」と言うと「いや、もっともっと練習しなきゃダメ―」って言われました。確かに。とにかくやるのが大事、と。
おわりに
ここに書いた僕の考え方は、松澤喜好さんの著書「単語耳」から多大な影響を受けています。
単語耳はシリーズ4冊出ていますが、1冊目が特におすすめ。発音記号の勉強にもめっちゃおすすめです。