アメスピを吸う人の気持ち
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「ライスを無料でおつけできますが、いかがいたしますか?」
初めて行くラーメン屋で店員さんに食券を渡すとき、僕はこのような質問に備えて、あらかじめ心の準備をするようにしています。
味の調整や無料トッピングを何にするかなど、初めての店ではどんなサービスがあるのか分からないからです。店員さんのどんな質問にも即座に答えるには、心の準備が欠かせません。
先週初めて行ったラーメン屋で無料のライスをつけるどうか聞かれたのは、カバンを床に置くのをやめてイスの背もたれにかけようとしていた時でした。
(ライス無料かぁ。お腹はそこそこ空いているから食べられるけど、ここのラーメンがライスに合うのかどうか分からないから、今回は様子見しておこうかな。それにお昼も炭水化物ばっかりだったし、ただでさえラーメンは体によくないし…。うん、やっぱり今日はやめておこう)
と瞬時に答えを導き出し(こういうどーでもいいことに関しては、僕の頭の回転はメチャメチャ早い)、店員さんに「あ、大丈夫です」と言いました。
さて、ラーメンを待っている間に頬杖をつきながら思索に耽っていたのですが、よく考えたら「ラーメンを食べに来ているのに健康のことを気にする」っておかしな話ですよね。だって本当に健康のことを考えているのなら、ラーメンなんか食べないほうがいいんです。でもラーメンは食べたい。「ラーメンを食べたい」って考えているとき「健康のこと」なんていうのは、衣装ケースにしまいこんだ季節外れの服みたいに、見えないところに追いやられているんです。
ここまで考えて「以前にも似たようなこと考えたことある気がするなー」と既視感があったのですが、しばらくして思い出しました。アメスピを吸っている人と話をしたときです。
僕の周りの喫煙者はなぜかアメスピを吸っている率が高いのですが、彼らはみんな口をそろえて「同じニコチンの量で他のたばこより2倍長持ちするから。コスパがいいんだよ」と言うのです。
非喫煙者の僕からすると「いやいや。ニコチンの量とかさー、そうやって健康のこと考えるんだったら、そもそも吸わなきゃいいじゃん」って今までは心の中で反論していました。言ってること矛盾してるじゃんって思っていました。
でも、自分も同じことをしてるんですね。彼らにとってのアメスピが僕にとってのラーメンというだけで、結局根っこは一緒なんです。自分にもアメスピを吸う人の気持ちが分かるようになったかもしれません。もっと言えば、別にアメスピとかラーメンに限らず誰だってそういう所があるんじゃないかって気がしますが、その話はとりあえずおいておきましょう。
僕はアメスピを吸っている人に対して嫌悪感を抱いていたわけなのですが、実は自分も彼らと同じだったわけで、これってもしかして心理学でいうところの「投影」ってやつなのかな…? 自分の負のイメージが他人の中に表出して見えるっていうアレです。でも、あんまり詳しい定義は覚えてないなー。家に帰ったらちゃんと調べてみないとな・・・・・
なーんてことを、ラーメンを待っている間に考えていました。ラーメン屋にいるときくらい頭のスイッチをオフにしてればいいんですけど、ぼーっとしているときほど色々考えてしまうものなんですよね。
アメスピを吸っている人がこれを読んだらどう思うのか、気になるところです。「そうそう、そーいうことなんだよ」と思ってくれるのか、「あーもう全然違うよ。分かってないなー」って言われてしまうのか。もしお読みになっている方がいましたら、ご連絡くださいませ。