広く浅くの効能① 楽しい部分だけいいとこ取り
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「浅く広く」の神髄は、さまざまな世界の入り口にある”おいしい部分”だけを頂いて、それ以上は深入りしない点にあります(笑)
例えば僕がやっているフライパンでコーヒー焙煎を例に挙げます。 自分でコーヒー焙煎すると、味の変化を自分で調整できます。コーヒー豆は焙煎が浅いと酸味が強くなり、焙煎が深いと苦味が強くなります。これは豆の色を見れば素人でも分かるので、酸味が欲しいときは豆が茶色の段階で焙煎を切り上げて、苦味が欲しいときには焦げない程度にまっ黒くなるまでやればいいです。 「こうやって焙煎すると→味がこうなる」ということを考えるようになると、今まで何気なく飲んでいたコーヒーにも「これは深入りした味だな」などと気づくことができるので、違った見方ができるようになって 楽しみの軸が1つ増えます 。また自分で味を決めることができれば、ちょっとバリスタになった気分で嬉しいですし(笑)、実際に飲み比べてみればわかりますが、自分で焙煎したコーヒーって結構おいしいです。カフェで飲むコーヒーと同等とまでは言いませんが、かなりイイ線までなら結構簡単にいきます。
ただしこれ以上深入りすると、費用対効果が悪くなります。 バリスタのプロを目指す人は毎日毎日コーヒーを淹れる練習をしていますが、「具体的には何をしているのか?」というと、どんな環境(気温・湿度など)でも同じ味のコーヒーを淹れる練習をしているのです。その時の気温や湿度などによって、豆の挽く粗さ(細かさ)や豆の量などを調整しないといけないので、練習をして感覚を鍛えているわけです。それを毎日毎日ひたすら練習練習 あと、プロは当然道具も一流のものを使っています。僕みたいにフライパンで焙煎しているわけではなく、機械を使っています。また、ドリッパーとフィルターも僕は100円ショップで買ったものを使っていますが、プロは1万円くらいのものを使っています。
確かにプロだったらそういう「100点を目指すための反復練習」が必要だとは思いますし、そのためには時間とお金をかける必要があるのでしょう。でも実は、80点くらいまでならちょっと一手間かけるだけで簡単に行けてしまいます。元々30点だったのを80点まで上げるのは一手間で済むけど、そこから先は伸び率が悪くなる。だったら80点でストップするのが一番いい。それ以上に進むとひたすら反復練習の繰り返しになるので、その域には足を踏み込まない。冒頭に書いた「”おいしい部分”だけを頂いて、それ以上は深入りしない」というのはそういうことです。
余談ながらお金の話をすると、こういうのは自分でやってしまった方が案外安く上がります。コーヒー豆は焙煎済のものを買うと100gで400円くらいしますが、焙煎前の生豆を買えば1kgで1000円くらいで買えます。それだと安すぎるので僕は1kgで2000円くらいのものを買いますが、それでも焙煎済のものの半額。で、コーヒー1杯につき豆は10g必要なので、1杯あたり20円となります。カフェでは1杯400円。缶コーヒーは1本100円。味はカフェの方が上でしょうが、値段で圧倒的な差があるので、自分で焙煎する方に軍配が上がるでしょう。 コーヒーに限らず、何でも自分でやっちゃった方が安いというケースは多いと思います。
そしてこれが一番”おいしい部分”だと思うのですが、「これくらい焙煎すればこれくらいの味になる」というのを体で覚えることができます。少なくとも、ただ缶コーヒーしか飲まない人とは一線を画すことができる。こういった無形財産は、どんな泥棒も盗むことができないプライスレスな価値を持っていると思います。 そして、ド素人よりは知識があって、プロがやるようなことも少しだけ自分でやったことがあると、プロの人と出会って話をするときにものすごく役に立ちます。これについては次の記事で。