指差し確認の有名実験の結果は、日常生活にも適用できるか?

更新: 2023-10-08  投稿:
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イラスト引用:いらすとや

前回のあらすじ。

指差し確認は、駅員さんや工場で働く人だけに限らず、だれでも日常生活に取り入れるいいですよ、うっかりミスを防げますよ、というお話でした。

【職業病】指差し確認を日常に取り入れる
2023-09-23

その根拠となるのが、こちらのめっちゃ有名な実験データ↓(再掲)。

指差呼称のエラー防止効果 グラフ
鉄道総合技術研究所(1996) 「指差呼称」のエラー防止効果の室内実験における検証 をもとに作成

指差し確認をすると、ミスを6分の1に減らせる という結果です。

出典の論文のリンクはこちら。

今回はこの論文の内容をもう少し詳しく見て、僕の気づいたことを書いてみようと思います。

ちなみにこの論文、とても読みやすいです。平易な文章で書かれているので、いい意味で全然論文らしくありません。

Warning!
論文内では 指差呼称=指差し+声を出す や 指差=指差しのみ などが区別されていますが、この記事では簡潔のため、すべて「指差し確認」としています。

日常生活よりも厳しい条件での作業

上グラフの実験手順は、簡単に言うと 表示された色と同じボタンを2秒以内に押す というものです。

前回の記事で僕が書いたような「毎朝の持ち物確認」といった日常場面と比較すると、次のような違いがあると思います。

① 時間がない中での作業である(制限時間2秒
② 次から次へと、色が連続で表示される。
③ 初めて行う慣れていない作業である(練習があるが)

朝は時間がないとはいっても、この実験のように「2秒」しかないことはありません。持ち物1個1個の間隔をあけることもできます。さらに、毎日行う慣れた作業です。

果たして、 この実験結果を日常生活の持ち物確認にそのまま適用できるかは疑問です

指差し確認でミスを6分の1に減らすことができるという結果ですが、個人的な感覚としては、もっと減らせるような感じがします。

もう1つの実験の方が日常生活に近い

この論文の研究では、2つの実験が行われています。

そして、冒頭にも紹介した有名なグラフは1つ目の実験の結果なのですが、実は2つ目の実験の方が面白いです。

2つ目の実験で明らかにしようとしていることは

  • 普通だったら絶対間違えない作業を
  • 流れ作業でやったら間違えちゃう可能性があるけど
  • 指差し確認すればミスが減るのでは?

です。

具体的な内容としては、問題に沿ってボタンを押す作業を100回やらせたあと、 101回目にひっかけ問題を出したらひっかかるのか? という実験です。←めっっっっちゃ簡潔な説明。詳しくは論文読んでね。

僕は こちらの実験の方が毎朝の持ち物確認に近い と思ってます。理由は・・・

① 時間にややゆとりがある(制限時間5秒。一度押してから次までの時間も5秒以上ある)
② 慣れた作業である(実験で使うのは101回目のデータ)

そして結果は 指差し確認なしの場合は約40%が間違えるのに対し、指差し確認ありだと間違いゼロになる というものです。

ただし、実験参加者が24名とかなり少ないので、本当にミスがゼロということはないと思います。

それでも日常生活に落とし込むなら、

「ちゃんと確認すれば間違えない作業の、うっかり確認忘れを防ぐのに指差し確認は有効」と言っていいでしょう。

おわりに

色々書きましたが、言いたいことは前回と同じです。みんなもしよう、指差し確認。

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